女性の社会進出と家庭生活の改善を目的とした教育から発展した家政学部は、近年の変化に応じた学びの指針の見直しが求められているように感じる。そんな中で郡山女子大学は、2026年度から「家政学部」を「生活科学部」へと改称する。この変更は、従来の家政学の枠組みを現代社会の多様な課題に対応可能な学問領域へと広げることを目的としたものであるという。
開設以来、同大学の家政学部は食物、被服、住居、福祉、児童など生活に関わる領域を学際的に統合し、実践的かつ文化的視点から教育と研究を行ってきた。しかし、近年の社会変化や技術の進展、少子高齢化や環境問題の深刻化により、「生活」をめぐる問題は年々複雑化している。こうした背景のもと、より広い視野と柔軟な応用力をもつ人材の育成が求められるようになり、「生活を科学する」という視点を強調し、より包括的かつ応用的な学問体系への転換を目指すという。
生活科学部では、地域社会が抱える課題に対して専門知識を活用しながら実践的に対応できる人材の育成を目標としている。例えば、社会福祉専攻では地域包括ケアや介護予防、建築デザイン専攻ではバリアフリー設計やコミュニティ空間の再構築、食物栄養学科では健康寿命の延伸や地域食材の活用といったテーマに取り組む。また、最新技術を導入した研究や産業の確立を目指す「福島イノベーション・コースト構想」などの地域振興プロジェクトとも連携し、実地での課題解決に参加する機会も設けられている。
こうした学びを通して、学生は単なる知識の習得にとどまらず、調査・分析・企画・提案・実施といった一連の実践的プロセスを経験することになる。これにより、卒業後も地域社会に貢献できる持続的な問題解決力と応用力を備えた人材が育つことが期待される。
郡山女子大学のこの改称は、単なる名称変更ではなく、地域と共に生きる大学としての姿勢を明確に示すものであると言えよう。
(公式ホームページから引用作成)
https://www.koriyama-kgc.ac.jp/