進路情報と進路指導の原点を見つめて|進学教育研究社|

18歳人口のピークは1992年(平成4年)で約205万人。その後、2024年には約106万人にまで減少し、大学進学率は59.1%*に。「大学は選ばなければ誰でも入学できる」といわれる時代を迎えた今、改めて“進路情報と進路指導の原点”が問われています。
高校生に情報提供やアドバイスを半世紀以上続けてこられた株式会社進学教育研究社 代表取締役社長・吉田修氏に、専門学校についての過去、現在、これからについてお話を伺いました。
*:文部科学省公表データ

 

「大学に行けなかった人の受け皿」ではなかった

――かつて、専門学校は「大学に進学できなかった人の受け皿」と言われることもありました。当時、そのような見方をどのように感じておられましたか。

一般的には確かにそう言われていました。
でも、実際の現場を見ているとまったく違う、と私は見ていました。
私が会社を始めた1970年代は、まだ「専門学校」という言葉はなく、「各種学校」として教育が行われていた時代です。1976年に学校教育法によって、専修学校のうち「専門課程」を置く学校が「専門学校」と呼ばれるようになりました。
当時は医療や建築、保育、美容、調理、など、いわゆる“手に職をつけたい”人たちに、専門学校が選ばれており、みな目的意識がはっきりしていました。
「大学に行けないから専門学校へ」という高校生もいたとは思いますが、そうではなく「自分のやりたいことを学びたい」という前向きな姿勢の強い人が大勢いたことは間違いないです。
大学への進学が主流となりつつあるなかで、自分の将来像を描き、実現に向かって進む彼らは、頼もしく尊敬すべき存在でした。

――目的が明確だったということですね。

そうです。大卒の学歴を求めるのではなく、「こういう仕事をしたい」と確信して、専門学校を選んでいたのです。
大学・短大に設けられている教養課程がない分、現場志向の実務をしっかり学べる専門学校の教育をあえて選んだ高校生がたくさんいたと言うことです。
当時の大学生よりも、むしろ志がはっきりしていたと思います。

 

専門学校に進む高校生が「以前と変わらず少なくない」のはなぜか

――今は、大学を選ばなければ、大学に進学できる時代です。それでも専門学校を選ぶ高校生は、文部科学省のデータによると15万人以上います。どう見ておられますか。

どちらを学ぶか、ではなく「何を学びたいか」「何をやりたいか」なんです。
やりたいことが大学にあるなら大学でもいい、専門学校にあるなら専門学校へ行けばいい。
もちろん、分野として、大学にはなく、専門学校にしかない学びもあります。
学ぶ目的が明確であることが一番大切です。
大方の保護者の方は「学歴社会の中で、大学へ行けば何とかなる」と考える人が多いと思います。
しかし、意外かもしれませんが、最近の高校生はしっかり考えています。「なぜ専門学校を選んだのか」を自分の言葉で説明できます。
実務的な学びを望む人にとっては、大学では見えにくい“仕事のイメージ”を、専門学校ではより具体的に描けるのだと思います。昔よりも主体的に進路を決めている印象があります。

 

「入学してよかった」という学校を選ぶために

――専門学校は、大学よりも設置認可の手続きが緩やかなこともあり、学校によって教育の内容や質の差が現れやすい、ともいわれます。どうお考えですか。

確かに多様です。たとえば、大学の設置には、文科省による教育課程審査があり、科目を担当する教員の審査などがありますが、専門学校にはそこまでは求められません。
だからこそ「情報による見極め」が重要です。
分野が同じでも、カリキュラム、講師陣は学校ごとに大きく異なります。また、入学者数、就職者数、卒業者数もできたら確認しておきたいですね。
オープンキャンパスや授業体験に参加して、卒業生の話など、現場の情報をどれだけ集められるかが鍵になります。
ネットなど情報はあふれていますが、数字やランキングだけでは見えない部分が多いので、進路情報は“人”を通じて得る信頼(?)が何より大切なのです。

――「入学してよかった」と思える専門学校を選ぶためのアドバイスをお願いします。

高校生が「自分に合う学校」を判断するには、先生や保護者を含めて複数の視点で見ることが大切です。
選ぶ側のリテラシーが問われる部分でもあります。
どの分野であっても、カリキュラムに基礎や基本を入れている学校かどうか、という視点も重要です。
「土台をつくる地道な学びは今どき不要」という意見もありますが、私はそうは思いません。
AIの活用が進む今だからこそ、基礎や基本を習得しないと通用しません。時を経て能力が開花する方がいらっしゃるのは、若いころに基礎・基本をしっかり学んでいることに他はないと考えます

――今後は大学ではなく、専門学校を選ぶ人が多くなるでしょうか。

学歴重視の考え方や賃金の差など、社会全体が変わっていかないと、そうはならないでしょう。
しかし少子化に伴う人手不足もあり、たとえば建築の現場では、大卒者も専門学校卒も賃金は変わらなくなってきています。
アメリカではエッセンシャルワーカーの賃金がホワイトカラーに近づきつつあるといわれており、日本でも同様の流れをつくっていく必要があります。

――年間の出生率が70万人を割る時代になっています。大学はかなりの数が募集停止になるといわれています。専門学校はいかがでしょうか。

専門学校もさまざまな分野で募集停止が出ています。
ただ、偏差値が高い進学校で、成績トップクラスの生徒が「本当にやりたいことを学びたい」と専門学校進学を選ぶケースは昔からありますし、今後もなくなることはないでしょう。
また、大学卒業後に専門学校へ入り直す人は、一定数います。
「好きなことを徹底して学びたい」という人がいる限り、専門学校はなくなりません。
進路選択の永遠のテーマは「いかに生きるか」です。
私の会社・進学教育研究社は、自分の可能性を最大化できる「よき学校」を選べる情報を提供することを、設立以来変わらない使命としてきました。
私の声が記憶に残りやすいからなのか、「あのときはガイダンスを開催していただき、ありがとうございました」と、かつて専門学校への進学を選んだ方々から突然声をかけられることが、数えきれないほどあります。
現代社会の最前線で、専門学校で学んだ知識や技術をしっかり活かし、
それぞれの現場で立派に仕事をされている姿を拝見すると、本当に胸を打たれます。
進路指導とは、単に進学先を決める行為ではなく、
“人生の選択”を支える人と人との関わりなのだと、改めて感じます。

そして、専門学校は社会基盤を支える数多の中堅技術者を輩出してきました。
私たちの日常生活の暮らしは、専門学校で学んだ人材によっても支えられていると言っても過言ではないと思います。

――本日はありがとうございました。

吉田 修(よしだ おさむ)
株式会社進学教育研究社 代表取締役社長
さまざまな企業で営業企画などを経験したのち、進学情報を提供する「進学教育研究社」を1975年に設立。以来一貫して、教育の本質を踏まえた進路講演会や進学ガイダンスを主として首都圏の高校で実施。「信頼できる専門学校」を紹介し、学校選択の動機付けに役立つ情報を提供している。


吉田 修(よしだ おさむ)
株式会社進学教育研究社 代表取締役社長
さまざまな企業で営業企画などを経験したのち、進学情報を提供する「進学教育研究社」を1975年に設立。以来一貫して、教育の本質を踏まえた進路講演会や進学ガイダンスを主として首都圏の高校で実施。「信頼できる専門学校」を紹介し、学校選択の動機付けに役立つ情報を提供している。


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