理工学科1学科の下、
7学系と8コースを置く理工学部
関東学院大学は文系・理系にわたる11学部を持つ総合大学です。このうち、理工系の理工学部と建築・環境学部は2013年度、従来の工学部を改組・拡充して誕生しました。
理工学部ではバイオ、宇宙、新素材、ロボット、ナノテクノロジー、IT、都市防災など、現代科学の最先端から私たちの生活に密接に関わる領域までを幅広く学びます。科学技術を通して、人々の幸福な暮らしと安全で快適な社会の実現に貢献できる技術者・研究者を育てることを目標としています。
理学・工学などの分野の垣根を超えて幅広い知識や技術が習得できるように、学部は理工学科1学科で構成されています。理工学科の下に「生命」「数物」「化学」「機械」「電気」「情報」「土木」という7つの学系を置き、学生はいずれか1学系に所属します。さらに、各学系には教育プログラムとして生命科学、数理・物理、応用化学、先進機械、電気・電子、健康・スポーツ計測、情報ネット・メディア、土木・都市防災という8つの「コース」が設けられています。
各コースには、それぞれの分野における基礎知識から現代の先端領域までを網羅するカリキュラムが用意されています。例えば、私が所属する土木・都市防災コースでは、災害に強い構造物や安全な都市づくりをめざし、構造設計や環境衛生、地震防災などに関わる多彩な科目が開講されています。
もう一つの理系学部である建築・環境学部は、従来の建築学の主体であったデザインとエンジニアリングに加えて、私たちを取り巻くすべての「環境」を教育・研究の軸とし、「建築・環境学」という新しい学問分野を打ち出した日本で唯一の学部で、従来の建築学よりさらに幅広い領域を扱っています。教員はアーキテクト(建築家)というより、多様な分野と結び付けて建築物や都市づくり、まちづくり、防災などを考えようという、技術志向のエンジニアと呼ぶにふさわしい研究者が中心です。
そのため、必然的に機械や電気、土木といった理工学部の教員との連携が強まり、研究室などを通じて学生同士の交流も深くなっています。改組によって2学部に分かれた理工学部と建築・環境学部ですが、かえって工学部1学部の時より研究領域における関係性は深まったと言えます。
11学部の研究領域を横断的に結ぶ
防災・減災・復興学研究所
理工系学部同士の連携に留まらず、本学では総合大学の強みを生かし、さまざまな場で学部・学科の壁を超えた教育・研究が進んでいます。その象徴の一つといえるのが「防災・減災・復興学研究所」です。
この研究所は、大規模災害から人々の命や暮らし、豊かな社会を守るともに、人々や地域社会が希望を持って災害からの復興を果たせるように、地元自治体・企業、さらには海外の大学や研究機関とも連携して研究に取り組むことを目的に設立されました。
自然災害は世界規模で年々多様化・巨大化し、被害の規模も深刻化しています。従来のような理工系だけの発想では対処が難しくなっており、さまざまな分野の専門家が一体となって、防災や減災に向けた課題に取り組むことが求められています。
そのような発想の下、同研究所には、建築・土木工学関係の教員はもちろん、社会科学系の教員も多数加わっており、さらに、神学や心理、教育、栄養などの教員も加わっています。
コロナ禍のなか、理工系学部では
8割以上が対面授業を実現
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、本学も今年度前半はオンライン授業に頼らざるを得ませんでした。ただ、理系の教育は実験や実習などのリアルな体験を通して、肌で知識や技術を習得することが欠かせないため、7月に十分な感染対策を施したうえで、完全対面授業へと移行することを決断しました。現在は理工学部と建築・環境学部では、8割以上の授業が対面授業となっています。9月には入学式も挙行したわけですが、入学式や対面授業を実現できたことで、私自身も学生と直に触れ合うことの大切さや喜びを再認識しました。
2023年4月には、新キャンパス「横浜・関内キャンパス」が開設される予定です。国際都市横浜を象徴するJR関内駅前に位置するキャンパスでは、これまで以上に学部を超えた連携が進むでしょう。また、企業や自治体、市民を巻き込んだ社会連携教育の拠点となることも期待されています。
毎日新聞編集委員 中根正義氏取材。『I→technology(アイテクノロジー)』01号より転載。