体験→課題発見→相談→試行
このサイクルを4年で複数回す
—実践的な学びがスタートしていますが、4年後の卒業に向けて、学生の成長は如何でしょうか。
今1期生は地域実習を進めていますが、いろいろな経験を通して問題意識がさらに高まっている状態だと思います。
実は地域創生学部をつくるあたって、教員は12名のうち、10名を新たに迎えました。とくに実習教育に実績が豊富な実務家研究者が多くなっています。
その地域実習の特徴は、先にもご説明した通り「学びのサイクル」です。
体験をして、そこから課題を発見して調査をして、仲間や地元の方々と話し合う。そのなかで提案をして、実際に試行してみる。それが新たな課題の発見につながる。こういったサイクルを、この4年間で少なくとも2回か3回は回していくことで、実践力も問題意識も高めて、強いものにできる。
これは我々の地域実習を通した人材育成の一番の強みで、実はそれこそが就職支援でもあります。
最近の就職活動では「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)が重要」といわれますが、自分ならではの経験をきちんと表現できるか、が問われ、まずはそのを材料を持っていないと書けません。
つまり、この地域実習を含めて1年生からやっていることがすべてガクチカの材料になります。
学生には自分の活動と成長の履歴を半期ごとに記録し、アドバイザーがそれを読んで「次はここ頑張ったらいいね」と指導しています。
やがてこれはポートフォリオとなり、就職活動に必要となるエントリシートの内容はすでに記されれています。私たちも就職指導をするときには、それを見ながら「今までこういう経験をしてきたから、こういう方向性がいい」と最適なアドバイスができます。
地方は人手が足りませんし、実習先の自治体や企業からも就職に関する具体的な相談があリます。
内定そのものは今は売り手市場ですから得られるはずですが、就職支援は、単に内定を取るだけではなくて自分のキャリアデザインなり、今までやってきた経験から「この仕事をやろう」という納得感を生むものでなければなりません。
そのなかで、たとえば公務員志望の学生を対象とした対策講座もやっていきますけれども、それと同時に多くの自治体の職員や国家公務員、客員教授に経験者として日々交流をしていただきながら、公務員としてキャリアビジョンを描ける指導をやっていきたいと思っています。
民間就職に関しては、地域に人材を還流させていくためにさまざまな企業・自治体から具体的なオファーをいただいて、マッチングをしていまきす。
地域実習先が、何度でも
「還ることのできる場所」になる
—高校生や保護者、または高校教員に向けてのメッセージをお願いします。
学生には「3つのホームタウンをつくろう」と話をしています。これは「生まれ育った地域」「これから住んだり仕事をしていく地域」そして「いろんな関係を持っている地域」のこと。
地域創生とは在学中の4年間で終わるものではなくて、実は地域がこれから自分の人生を支えてくれる、そうした大切な存在になっていくことだと思うんです。
卒業して就職したのちに「実習先で出会ったあの地域のおじいちゃん、おばあちゃん、何してるかなとか」とふと気になって、「今度の休みのときに遊びに行ってみようかな」と、3つめのホームタウンを思い起こすような、よき関係を保ってほしい。
自分が還ることができる場所がいろいろあることは自分の支えになるし、人生そのものが豊かになりますから。
ぜひ、自分で育った地域から出て地域創生学部で学んで力をつけて、また地域に還って力を発揮していただきたいと思います。